幼稚園に通っていた頃、僕はサンタクロースに憧れていた。
サンタクロースなんて信じない、という友達もいたけれど、僕は信じていた。サンタさんの存在を。
できることなら、サンタクロースさんに会いたい。お母さんにお願いをすると、少し困った顔で「サンタさんは忙しいのよ?」と言われたことは覚えている。
ある日のこと。隣にある男の人が引っ越してきた。
友達と公園で遊んだ後の帰り道。気になったので隣の家の表札を見た。
そこには「三田」と書いてあった。
「サン…タ…。」
当時の僕はそうとしか読めなかった。
まさか。あのサンタなのか。
僕は胸を躍らせた。
その日の夕方、その男の人は我が家に挨拶に来た。
驚いた。その人は、白い髭をたくわえていた。
「やあやあどうも。隣に引っ越してきた「ミタ」と申します。」
……ミタ?なんだか変な名前だ。
でも「三田」が名字なんだから、サンタミタさんっていう人なのかな。
「これはこれは。わざわざどうも。引越しはさぞ大変だったでしょう。どうぞ上がってくださいな。」
髭をたくわえ、恰幅の良いミタさんは、絵本で見たサンタさんそっくりだった。
「……サンタさんだ。」
「ん?」
きっとこの人は本物のサンタさんなんだ。
僕はその人のことを「サンタさん」と呼ぶことにした。
続かない
※この物語はフィクションです
[8/29 13:48 公開]
[8/29 16:10 一部修正]
2010/08/29
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